わたしの、センセ

「さくら、こっちに座って」

センセがテーブルに座るように、言ってくる

わたしは不思議に思いながらもセンセに言われたとおりに椅子でなくて、テーブルに座る

センセがわたしの前に立つと、ぎゅっとわたしを抱きしめてくれた

温かくて優しいキスをしてくれたセンセが、わたしの乱れた髪を指で整えてくれる

センセの熱い吐息が、わたしの頬にかかる

それだけでわたしの心臓は張り裂けそうなくらい早い鼓動になった

「小さな反抗心ってなに?」

先生の低いテノールが、わたしの耳元で囁いた

「パパに……気づいてもらいたくて。今の生活に不満があるって…」

先生の温かい掌が、わたしの頬に触れた

「口で言えないから…態度で示せればって」

センセの唇が、わたしの首筋に落ちた

ちゅっと吸いつく音がすると、わたしはセンセのスーツにしがみ付いた

「センセ…」

「白紙の答案用紙じゃあ…気づかないと思うよ。たとえ気付いたとしても、教師の責任にすると思うよ」

「え? それじゃ……センセの責任にされちゃうの?」

「たぶんね」

センセが、肩を持ち上げると苦笑いを浮かべた

「ごめん…なさい。わたし、そんなつもりじゃ…」

センセの責任にされるなんて…考えもしなかった

どうしよう

わたし、センセがパパに怒鳴られて欲しくないよ

わたしの目頭が熱くなると、次々と涙が溢れてきた