わたしの、センセ

-さくらside-

どうしてセンセは、こんなにも優しいのだろうか

答案用紙を白紙で出したのに、怒りもせずに、理由だけを聞いて、今日の道隆さんとのデートを中止にしてくれた

本当は全教科、白紙にしようって思ってたのに…センセの教科だけは白紙にできなかった

センセが、一生懸命教えてくれた授業を無にしてしまうような気がして…

白紙する勇気がなかった

センセの授業はすごく楽しいし、わかりやすいから

授業の結果を確かめるテストを、白紙で出すなんてできなかった

センセ…わたし、センセが好き

大きくて広い心で受け止めてくれるセンセが、すごく好きです

『これで今日のデートは中止だよ』

囁くように言う先生の言葉は、わたしの心を癒してくれる

白紙の答案用紙の上で繋ぐ手が、わたしを幸せな気分にさせてくれる

煩いくらい耳につく車のマフラー音が、離れていくのを聞きながら、センセと指を絡ませ合う

センセがフッと笑みを見せると、わたしの指先にキスをした

センセのキスで、わたしの頬が一気に上気する

「センセ、好きです」

「知ってるよ」

センセが優しい顔で、笑いかけてくれる

「今度は行動に出る前に、僕に相談してよ。白紙の答案用紙を他に先生に突き付けられて、びっくりしたんだから」

センセが苦笑した

「ごめんなさい」

わたしが謝ると、センセが席を立って、わたしの頭を撫でてくれた