わたしの、センセ

「僕は葉月さんの担任の松浦です」

『担任? なんで担任が、電話に出るんだよ』

「煩いから」

『は?』

「コール音が煩くて、葉月さんと話しができない」

『なんの話しだか。もう終礼は終わってる時間だろ? これからさくらと出かけるんだ』

「残念。デートは中止にしてほしいね。生徒と真面目な話をしている。長くかかるよ。すごく長くね」

『はあ?』

婚約者が地を這うような低い声を出してきた

僕はくすっと笑うと、窓から男の顔を見つめた

苛立たしそうに、腰に手をあてて、仁王立ちしている

「今日はお引き取りください。下駄箱の前に車を止められると、非常に邪魔なので」

『っち』と舌打ちをするのが聞こえた

下品な男だ

舌打ちをするなんて…お金のある上品な男の行動とは思えない

僕は「失礼します」と告げると、携帯の通話を遮断した

「はい、どうぞ」と僕は、さくらに携帯を返した

さくらは凄く心配そうな顔をして僕を見てくる

僕はさくらに微笑むと、椅子に座った

「これで今日のデートは中止だよ」

僕はそういうと、さくらの手を軽く握った