わたしの、センセ

がちゃっとわたしの部屋のドアが、ノックもなしに大きく開いた

「ちょっとお待ちください。旦那さまの了承を得ないと……」

メイドの慌てている声がして、わたしの腕を引っ張るパパの手が緩んだ

「貴様…なぜここにいる?」

「担任として来ました」

え? センセ?

わたしは乱れた髪を手で払ってから、顔をドアのほうに向けた

スーツ姿のセンセが、まっすぐな瞳でパパを見つめている

切れ長の綺麗な目が、少し吊り上げっていて、怒っているようにも見える

ただ単に、緊張しているだけなのかもしれないけど…教室で、笑っているときのセンセとは大違い

身体から放たれるオーラも強くて、思わず格好良いって見惚れそうになっちゃうよ

パジャマ姿であるのに、気がついたわたしは恥ずかしくてベッドの中に身体を入れた

出かけたくないけど、センセが来るなら…パパの言うとおりに着替えておけば良かった

こんな格好…恥ずかしくて、センセに見せられないよ

「無礼な男だ」

パパの言葉に、センセがふっと口を緩めて笑った

「寝込んでいる娘を無理やり引き摺り出すほどじゃありませんよ」

センセの言葉に、パパのこめかみに青筋がたった

駄目よ、センセ

パパを怒らせたら、止まらないよ?

「あ…」

わたしは、センセとパパを交互に見やった

「葉月さん、まだ熱があるでしょ? 寝てたほうがいいよ」

センセがわたしに視線を向けると、優しい頬笑みを向けてくれた

嬉しい

センセの笑顔が、わたしに向く

それだけで胸が熱くなる