わたしの、センセ

情けないな

男として、僕は今、物凄く情けなくて無責任なヤツに感じてしまう

真央という恋人がいながら、生徒であるさくらのことばかりが胸を支配して、苦しくなってる

なのに、まだ真央と別れる決心がついてないなんて…男として馬鹿すぎて呆れてしまう

教師として、社会人として踏み込んではいけない領域を目の前にして、足踏みをしている僕がいる

男として、欲しいと思う…手に入れたいと想っている欲望が渦巻いている僕がいる

教師としての道を選ぶか

男としての道を選ぶか

簡単な選択に答えが出ているのに、どうして迷う必要があるのだろうか

どうして胸が苦しくなるのだろうか

頭で考える最善の答えと、心が欲しがる最低の答えが…こんなにも違うと身動きがとれなくなるものなのか

心の中にあるモヤモヤした気持ちを認めてしまったら、少しは楽になるのだろうか

それとも、もっと苦しくなるのだろうか?

誰か、僕に教えてくれよ

僕が選ぶべきに最高の方法を……

教師としての僕が勝ち残るのか…男としての僕が勝ち残るのか

僕は席を立つと、鞄の中にクリアファイルを突っ込んだ

携帯をポケットの中に入れると、『葉月さんの家に行ってきます』と職員室の先生に告げた

答えは決まってる

僕は教師だ

教師が生徒に恋をするなんて、いけないんだ

僕が、答えに迷うなんてしちゃいけない

葉月さんは僕の大切な生徒だ