-悠真side-

ゴールデンウィークが終わって4日過ぎても、さくらは登校してこなかった

メールも来ない

以前なら、休む時に朝8時前までにはメールをくれたのに

『センセ、明日からわたしを嫌ってください』

苦しそうに言葉にしたさくらの声が、耳の中で蘇る

キス一つで嫌いになれるなら……こんな苦しい想いはしないんじゃないか?

僕は、胸に手をそっとあてた

携帯を机の隅に置くと、クリアファイルに入っている保護者宛ての手紙をじっと眺めた

日に日に溜まっていく学校からのさくらへの手紙だ

学校に来たら、纏めて渡せるように手元に置いてある

…が、このままさくらが登校しなかったら…なんて、不安になる

嫌がっている婚約者とは、どうなっているのだろうか?

また無理やり引き合わされたりされるのだろうか?

いや…もう、夜を過ごしてしまったのかもしれない

僕は首を左右に振った

僕の証が残る身体を、さくらは他の男に見せるだろうか?

思わず残してしまった僕のキスマーク

誰かの身体に噛みついたなんて、初めてだ

真央とは長い付き合いだけど、一度もマークをつけていない

なぜ、つけたのか

なんて、質問されても僕はきっと答えられない

僕自身が、わかってないんだから

どうして? 自分自身に問いかけても、はっきりとした答えなんて出ない

魔がさした? ……いや、違う

そんなその場限り的な行動じゃない

心が、欲してた

さくらが欲しいと、頭の中で囁くもう一人の自分がいた……気がする