わたしの、センセ

淡々と食事を進めて、わたしは道隆さんの車でホテルに向かった

最上階のスイートルームに入ると、道隆さんが嫌がるわたしを無視してキスをした

「や…やめっ」

手首を掴むと、ベッドに押したおされる

嫌だっ…婚約者だからって、やめてっ

男モノの香水が、気持ち悪いくらいにわたしの鼻につく

「君のお父さんには了承は得ているんだ。彼は早く契約してしまいたいらしいよ…さくらの身体で」

嫌いな男の指が、わたしの身体を這っていく

まるで幼虫が、わたしの身体の上にいるみたいで…鳥肌がたつ

嫌だっ

触らないで…わたしは貴方に触れて欲しくないっ

「いやっ…だ」

わたしは道隆さんの中で暴れた

非力なのはわかっているけど、抵抗しないで抱かれるなんて嫌だ

運よくわたしの足が、道隆さんの股間に入ると、彼はベッドから落ちた

身体が自由になったわたしは、ベッドから降りると、鞄を掴んでダッシュで部屋を飛び出した

道隆さんが追ってくる前に、逃げないと

必死な気持ちで、エレベーターのボタンを連打する

開いたエレベータの扉に飛び込むと、急いで閉まるボタンを押して、ホテルのロビーがある一階に下りた

ロビーの前を小走りで、横切ると、ホテルの前で待機しているタクシーに乗った

「どこまで?」

タクシーの運転手が、抑揚のない声で聞いてくる

「とりあえず出して!」

わたしの大きな声に驚いた運転手が急いで、ドアをしめると車を発進させた

早く逃げなくちゃ

道隆さんのいる場所から少しでも遠くに!