わたしの、センセ

―悠真side―

ゴールデンウィークに地元に戻ると約束しておきながら、僕は結局一日も休みが取れずに、帰れなかった

片道三時間の電車に揺られて、真央が来てくれなかったら、僕と真央は夏休みまでデートもできなかったかもしれない

「ごめっ……待たせた」

僕はバイクに跨ったまま、駅のロータリーで突っ立っている真央に声をかけた

大きな鞄を肩にかけている真央が、僕を見ると頬を膨らませた

「女を駅で1時間も待たせるなんて失礼よっ」

真央が、大きな鞄で僕の背中を殴った

「だから謝ったじゃん」

「そんな軽い謝りで許せると思うわけ?」

「はいはい、申し訳ありません。これでもかなり急いで来たんだから」

「そんなの見ればわかるわよ。スーツに二輪なんて格好悪いじゃない」

僕が笑うと、真央が「仕方ないなあ」と苦笑した

「許す!」

「ありがと」

僕と真央は軽くキスをした

「どうする? 夕飯、何が食べたい?」

真央が鞄をまた肩にかけると、僕の後ろでバイクに跨った

僕がヘルメット渡すと、真央が赤いヘルメットをかぶった

「そうだねえ。あたし、何か作ろうか?」

「真央の手料理なんて、嬉しいなあ」

「お腹、壊しても知らないけど」

「壊さない程度の料理でお願いします」

「わかってるわよ」

真央が僕のわき腹に肘を入れてきた

「じゃ、出発するよ」

「オッケー」

真央が元気よく返事をする

今夜は真央と一緒に夜を明かせる

長時間、真央と一緒にいられるなんて何カ月ぶりだろうか

遠距離恋愛なってから、なかなか一緒に過ごせないけど、一緒にいる時間はとても幸せだよ

真央も僕と同じ気持ちだといいな