わたしの、センセ

―さくらside―

学校から帰ってくるなり、わたしは先生のアドレスを電話帳に登録した

『松浦悠真』

携帯に表示される先生の名前を見るだけで、胸がドキドキした

松浦先生

わたし、先生が好きになったみたいです

わたしを理解しようとしてくれる先生が、すごく嬉しい

わたしが話すのが苦手で、身体が弱いって知っているのは先生だけです

パパとママは身体が弱いのは知っているけど、話すのが苦手なんて知らない

勝手に二人で話して納得して、会話が終了しているから

わたしの言葉なんて気にしてないの

わたしの話を聞いてくれようとしてくれたのは先生が初めて

すごく嬉しかった

先生は、もう仕事終わったのかな?

テニス部の顧問って聞いたけど、部活って何時くらいまでやってるんだろう

先生、メールしても怒らないかな?

わたし、先生とメールしたいです

わたしは携帯のメール画面を開いた

『先生、今日はどうもありがとうございました。先生に気付いてもらえて、すごく嬉しかったです。メールでも、誰かと話をするなんて初めてで。先生とお話ができて光栄です』

深呼吸を3回ほどしてから、送信ボタンを押した

送って良かったのかな?

先生に不信がられたかな?

もう勤務時間じゃないからって、無視されちゃうかも

『僕もだよ。葉月さんを話ができて良かったよ。ちゃんと家に帰れた? 体調は平気? 久々の学校で疲れてるんじゃない? 今夜は早く寝るといいよ』

先生のメールは、5分以内に返事がきた

びっくりした

こんなすぐに返事がくるなんて思わなかったから

嬉しくて、ベッドの上でわたしはゴロゴロと身体を転がした

わたし、先生が好きです

こんなにメールが嬉しいなんて初めて

この携帯、一生捨てたくないよ