わたしの、センセ

僕はネクタイを緩めると、前髪をぎゅっと引っ張った

痛い…これは現実だ

真央が死ぬなんて…夢だと思いたい

「真央は今…どこに…」

『家よ。救急車の中で、あの子の呼吸が止まったの』

「じゃあ、僕も」

『大丈夫よ。通夜と葬式に来て。あの子がね…息を引き取る前に、謝ってたの。悠真君に…ごめんなさいって。裏切ってごめんなさいってずっとよ。それと、幸せになってって……それを伝えたくて電話したの。仕事中にごめんなさいね』

真央のお母さんが電話を切った

僕は携帯をデスクの上に置くと、唇をかみしめて涙を堪えた

泣くな…泣いちゃだめだ

「泣け…松浦」

携帯からきっと声が漏れていたのだろう

勇人さんが、低い声で囁いた

僕は鼻を啜ると、涙を頬にこぼした

「あいつが…死ぬなんて、信じ…らん、な…」

僕のせいだろうか?

僕が…さくらを選んだから?

僕が、真央を実家に帰したから、いけなかったのか?

「お前のせいじゃない」

「真央を独りにしないって…約束したんです。だけど僕は…真央を独りにして…」

僕は頭を抱えた

僕を支えてくれた真央なのに、僕はさくらと一緒になりたくて、真央を支えてあげられなかった

家族同じ存在の真央を…守れなかった