わたしの、センセ

「センセっ」

ピンクのワンピース姿のさくらが、笑顔で走ってきた

零れんばかりの笑みで、僕を見つめている

僕も、さくらの笑顔につられて、微笑んだ

僕は両手を広げると、さくらを抱きしめた

かすかに香る花の匂い

コロンなのか…それとも髪の毛につている髪飾りのせいなのか

ついさっきまで花嫁として、準備していたさくらは、少し大人びて見えた

可愛い…というより、綺麗だ

少し色づいた唇が、大人の女みたいに艶やかに光っている

「さくら、会いたかった」

僕はぎゅっとさくらの腰を引き寄せた

さくらの首筋に顔を埋めると、僕は目頭が熱くなる

「センセ…後悔しない?」

「それは僕のセリフだよ。裕福な生活はもう出来ないんだよ? それでもいい?」

「わたし、センセが傍にいてくれるなら…他には何も望まない」

さくらが、僕の腕をそっと掴んだ

「僕もだよ。さくらが傍にいてくれるなら、何もいらないよ」

「センセ…好き! 大好きっ。ぎゅってして」

僕はさくらを強くつよく抱きしめた

腰の骨が折れてしまうんじゃないかってくらい、僕はさくらを抱きしめた

さくらの温もりが、僕を癒してくれる