わたしの、センセ

謙蔵は2,3歩後ろに下がると、そのまま尻もちをついた

「あんたの娘が、誰を好きか…なんて戸倉から聞いてるんだろ?」

「エロ教師め。娘に手を出すなど、許せん。尤もな意見を口にしながら、ただ娘をモノにして金と地位を奪いたいだけなんだ。欲に駆られた金の亡者め」

「金の亡者はあんただろ。金と地位と権力が欲しくて、娘を人形にしたんだから。あいつは、あんたの人形を人間にしたんだ」

俺はな…馬鹿嫌いだ

だけど、大馬鹿野郎は好きなんだよな…意外と

克波も小花にたいして大馬鹿野郎だったし、松浦も自分の気持ちに真っ直ぐな大馬鹿野郎だ

そう言えば、桃香もだな

お人好しの大馬鹿野郎だった

あ…藤城弟も大馬鹿野郎だったな…いや、大大大馬鹿野郎だな

あいつは俺の大事な妹を奪っていきやがった

それだけで大罪だ

時代が時代なら、極刑に値する

だからって、俺は莉子の気持ちを無視したりはしない

俺は、自分の気持ちに嘘をつけない…素直なヤツが俺は好きだ

無駄に知識があって小賢しい馬鹿は嫌いだ

そういうヤツは人の心を忘れる

自分以外のヤツの心を無視する

『心』を無視するヤツは、人に怪我させるよりももっと重い罪に問われるべきだ