わたしの、センセ

―悠真side―

「さくらっ」

部屋を飛び出したさくらを僕は追いかけようと、靴に足を引っ掛けた

「悠真っ…かないで」

真央の声に、僕の身体が固まった

ゆっくりと光をさえぎり、しまっていく扉をじっと見つめた

カチャと扉が閉まりきると、僕はその場に蹲った

何が起きてるんだ?

なんで、さくらは僕のアパートを知っていた?

なんで、しきりに謝っていたんだ?

「悠真、独りにしないで」

か細い声で、真央が囁く

僕は立ち上がると、靴を脱いで真央に近づいた

「あとは自分でできるだろ」

僕は湿布を真央に渡した

僕は足元にある真央の服を見て、はっとした

もしかして…さくらは誤解したのか?

違う

僕と真央はもうそういう関係じゃない

真央が病院で治療してもらえなかった打撲の部分に湿布を貼っていただけだ

何もやましいことなど…

「ごめん、すぐ戻るから」

僕は立ち上がると、家の鍵を持って部屋を出た