わたしの、センセ

「あ……」

僕はシャワーを浴びて洗面所に出ると、小さく声をあげた

さくらにプレゼントを渡すのに、頭がいっぱいで新しい下着を持ってくるのを忘れてた

何、やってんだよ

僕は自分の額をパチンと叩くと、真っ白のタオルを腰に巻いた

部屋に戻ると、ヘルメットを大事そうに抱えてベッドに座っているさくらと目が合った

僕の姿を見たさくらの顔が一気に真っ赤になる

…だよね

そういう反応になるよね

ごめん

下着を持っていくのを忘れたんだ

僕は苦笑すると、肩を持ち上げた

「すぐに着替えるから。夕食、食べに行こう」

僕はリュックに手を突っ込むと、下着を探した

「センセ…足に傷が…」

さくらの心配そうな声がして、僕はアキレス腱にある傷痕に視線を落とした

「ああ、これ? 高3のときにアキレス腱を切ったんだ」

「え?」

「僕、ずっとテニスをやっててね。それなりに成績も残してたんだけど、肉離れとアキレス腱切断を立て続けにやっちゃって。テニスで身を立てるのを辞めたんだ」

僕はボクサーパンツとシャツをリュックから引き出したところで、背後からさくらに抱きつかれた

ちょ…っと、これはマズいんじゃないの?

僕……腰にタオルしか巻いてないんだよ?

「センセ、プロの選手になりたかったの?」

「まあ、ね。それもいいかな?って。僕にはテニスくらいしか自慢できるモノがなかったから」

「辛かった?」

「もう駄目だって思った時はね。諦めるしかないって言い聞かせてる自分がすごく情けなかった。まわりは『まだイケる』って励ましてくれたけどさ。怪我する以前のように自由に走れない足だって、僕が一番わかってたから」

背中に抱きついているさくらの腕に力が入るのがわかった

ぎゅっと僕のウエストを締めてくる