カチャリ、と。
装飾されたノブが周り、開いたドアから現れたのは、見るも鮮やかな、青い髪の少年だった。
「あ、」
少年の、深い翠の瞳が、こちらを見て丸く見開いた。
「目が覚めたんだ!」
少年は喜色を含んだ声でそう言い、足をこちらへ向けて走らせる。
そばにやって来た彼は、とても可愛らしい容姿をしていた。
「どっか痛いトコとか、ない?」
「え、と…?」
「全身泥だらけだったし、腕とか足にかすり傷がイッパイあったから。一応、手当はしたんだけど……」
そう言って目を瞬く少年の表情は、なぜだか犬を彷彿とさせた。
心配そうにしっぽを振る幻覚すら見えた。ヤバイ。
…もしかしたら、この少年が私をここに運んでくれたのだろうか?
そうだとしたら、お礼を言わなければいけない。
しかし、それより先に聞きたい事があった。
「あ、あの…」
「ん?」
掠れた声で話し掛けると、人懐っこい笑顔で聞き返される。
…なんだか、ひどくやりづらいのは、美形に慣れていないせいだろうか。
気を取り直すように息を吐いて、少年の目を見つめた。
「わたし、生きてるんでしょうか……?」
私がそう言った途端、少年の瞳が驚きの色を浮かべた。
「え…!? キミ、死んでるの!?」
「…は?」
「じ、じゃあ、ユウレイ……いや! ゾ、ゾゾゾゾンビなわけっ!?」
「………」
どうやら、コイツに聞いたのは間違いだったようだ。
こっちが心配になる程に慌てふためき、おろおろと部屋をさ迷いだしてしまった。
(今まで会った人の中で、イチ番めんどくさい人種だ…)
「キミはちゃんと、生きてるよ」
「うわーーー!!?」
「ギャーー―!!!」
突然、耳元に息を吹き込む様に囁かれた声に、ゾワゾワと背筋が粟立った。
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