そんなもやもやした気持ちのままで部活なんかしたせいか…。
「いって―――!!」
「もう!!これくらいで騒がないの!!」
依夜は湿布を貼った手首をぎゅっと握った。
「っーーー!!」
痛いです、依夜ちゃん。ものっそい痛いですよー!!
赤く腫れ上がった手首はきっと捻挫だろう。
こけても足に怪我をしないところはさすが俺。
「バカ太一。これが大会前だったら本気で怒ってるんだから」
そう言いながら依夜は棚に湿布の入った袋をしまっていく。
最後に棚の鍵をかけたいのに手が届かないらしく四苦八苦していた。
俺は心の中でクスリと笑うと依夜の後ろから棚の鍵をかけた。
「ありがと」
「…ん」
「監督がもう帰っていいって言ってたからカバンとってくるね」
依夜の口調はまるでケンカなんかしてないみたいに滑らかで、俺が一方的に不機嫌になっていたことを再確認させられた。



