(――ここは?)

 キョロキョロと周囲を見回す隼人くん。
 いきなりワケの分からない場所に連れてこられたんだから、それは焦るだろう。

(どこかは分からないねえ)

 隼人くんにそう声をかけた。
 飛び上がって驚く隼人くん。

(そ、その声は『マリ』? 『マリ』なのか!?)

 そう言いながら私の方へ歩み寄ってくる。
 両手をすぼめて私を抱きかかえるようなポーズをとりながら、

(ど、どうしたんだ? 丸い球みたいな姿に……)
(へえ、今の私ってそんな姿なんだ)

 抱きかかえられたまま隼人くんに返事をする。
 きっと……今の私は隼人くんの意識の中に残った『マリの残り』なんだろうと思った。