ちぇんじ☆

 カラオケボックスの中は真里の『一人リサイタル状態』になっていた。
 まあ、カラオケにノリ気じゃない私にマイクに声が入らない隼人くん。
 自然と真里が一人で歌い続けるような形になる。

 それでもノリノリな隼人くんに楽しそうに歌い続ける真里。
 この二人は元に戻ってからもこんなバカップルになりそうな気がする。

 そんな様子を苦々しい気持ちで見ているかといえば……実際はそんなこともなかったりする。
 むしろ微笑ましいような、ちょっと祝福してあげたいような、そんな気分だ。

 理由としては、私がこの隼人くんに対する気持ちを諦めようと決心したこと、真里と私は同一人物だという原点に立ち返ったこと、この二つが主な原因だと思う。
 私が私として隼人くんと付き合うことを諦めてみれば、真里と隼人くんが付き合うって私と付き合うのと同じこと、そう思えるようになった。……って何かややこしいな。

 と、とにかく!だ。
 早く元に戻って、この二人が安心して付き合い出せるようにしてあげよう。そんな風に思えるようになっているわけだ。
 その前に、真里と少し話しておきたいこともあるんだけどね。

 さっきから真里と二人きりで話せる機会がないかと、スキを伺ってみてはいるのだが。
 この二人、ずーっとラブラブな雰囲気を演出しまくりでなかなか間に入り込むことも難しい。
 この恋を応援してやろうと決めたばかりではあるが……仕方ないので邪魔させてもらおう。