ちぇんじ☆

「で、学校はどうするの? 遅刻するよ?」

 しておかないといけない事はこれで一通り終わらせた。
 カズちゃんに真里を見せることもできたし、
 念のためにオデコも合わせておいた、これで学校で『ボケ真里状態』になることも無いはずだ。
『元に戻る方法』の説得はこの二人の様子を見る限りもはや時間の問題だと思うし。
 後は真里が学校に向かうのを見送れば現段階でのミッションはつつがなく終了だ。
 そう思っていたのだが――。

「学校……休もうかな?」

 急に真里がそんなことを言い出す。

「休むって、アンタ制服のままでウロウロするつもり?」

 私がそう反論すると、ニヤっと笑って真里が鞄の中を見せる。
 鞄の中には――着替えが入っていた。
 上下一揃い、良く見れば靴も学校指定の靴ではなく外出用のミュールを履いていた。

――コイツ、最初から学校を休む気でいたな……?

 私が少し説教してやろうと口を開くより早く、

(いいね! どこで遊ぶ?)

 興奮気味に隼人くんが賛同の意を唱える。
 発言の機を削がれた形になり、何も発言できないままに二人の間で計画は進行していく。

「カラオケ行きたい!」
(おー、いいかも。真里ちゃんの歌聴きたいし)
「ボーリングもいいかな?」
(俺けっこう上手いぜ?)
「その後どこかでお昼食べて」
(美味い店知ってるんだ、連れていくよ!)
「ご飯の後は公園でのんびり、なんてのも良いよね」
(いいねー!)

 先に断っておこう。
 私の目から見れば二人の会話が進行しているようになっているが、
道行く人々から見れば『ワガママな彼女が無言のままの彼氏に一方的な予定を語っている図』に見えているはすだ。

 意見を挟む間もないうちに計画はどんどん決まっていき、結局、真里は学校を休んで今日一日デートするということになってしまった。

――男で身を滅ぼすタイプかもしれないわね。

 彼氏ができた程度で学校を休んでたら学業なんて成り立たないわよ!