「うーん、まあいいや」

 真里の格好についての話はとりあえず一旦切り上げる。
 さっさと本題に入らないと真里が学校に遅刻してしまうだろう。

 後ろをチラっと見るとカズちゃんが物陰からこちらを覗いているのが見えた。
 私の視線に気が付いて親指を立てるポーズを取っている。

――カズちゃんは真里の状態を確認できたってワケね。

 これで目的の一つは果たした。
 それじゃあもう一つの目的を果たすとしますか。

 もう一つの目的――『ボケ真里防止策』のことだ。
 いつもの感じでいっているならば、今日は生理は軽いはずだ。
 大体のパターンだと二日目がメチャメチャキツくて、翌日には一気に軽くなる。
 上手くすれば明後日くらい。早ければ今晩には生理が終わるはずだ。

 生理の重さと『ボケ真里状態』が関係しているならば今日は大丈夫のはず。
 念には念を入れてこうやって会っているわけだが、現在の様子を見る限り何も心配は無いようだ。

「――で、どうなの?」

 一応、真里に聞いておく。
 聞かれた当の本人は隼人くんと視線を合わせては微笑みあったりしてイチャついてやがる。
 このままだと昨日の二の舞になりそうな雰囲気まで漂わせている。

「へ? どうって?」

 コイツ……今朝こうやって会ってる理由を忘れてるんじゃないか?
 今度はすこしキツ目の口調でもう一度確認してみる。

「頭よ! あーたーまっ! ボーっとするの? しないの!?」

 こう言われてやっと「ああ!」と手をポンと叩きながら返事をする。
 やっぱり……忘れてやがったな。
 多分、隼人くんに会うのが目的で昨日の自分の状態なんてすっかり忘れていたのだろう。

 口元に指を置いて、少し考え込むようなポーズを見せた後、瞳を潤ませながら真里が答える。

「うーん……ちょっとぉ……ボーっとしちゃう……かな?」

……『かな?』じゃねーよ!!!!