鏡に映った自分の目は、それを照らす朝焼けの光に負けず劣らず真っ赤だった。
 確定してしまった失恋のショックに結局は一晩中泣き明かしたわけで――。

――あーあ、ヒドイ顔だ。

 いや、鏡に映る隼人くんの顔がヒドイっていうワケじゃなく。
 隼人くんの顔はむしろ美少年ですよ?
 この泣き明かした顔がヒドイっていう意味であって……。

 布団から出ると隼人くんは部屋の中にはいなかった。
 きっと私の泣き声が聞こえて、気を利かせて部屋から出ていってくれていたのだろう。
 こんな時にまで優しいなんて――なんか反則だ。

 せっかく諦めかけていたのに、改めて惚れ直してしまいそうになる。

――ああー!もうっ!!

 色んな感情がごちゃ混ぜになった頭をスッキリさせたいのと、涙の跡のヒリヒリを少しでも抑えるため顔を洗いに洗面所に向かう。
 家の中はまだ静まり返っている。
 きっとお母さんもカズちゃんも寝ているんだろう。
 二人を起こしてしまわないように、そおっと、静かに家の中を歩く。

 静まり返った家の中、ギシッギシッという私の足音だけが小さく響く。
 ゆっくり歩いてたどり着いた洗面台で一気に顔を洗う。
 冷たい水に流されて引き締まるような肌の感覚が心地良い。
 同時に寝不足でぼんやりとした頭も少しはシャンとする――。

――まずは真里に会いに行って、カズちゃんとも少しは話をしたいな。それから……どうしようかな。

 頭の中で今日の予定を組み立ててみる。
 これといってやりたいことがあるわけじゃないけど……残された時間も限られてることだし。

――行き当たりバッタリで良いか、と結論を出しておこう。