(わ……分かった、言えばいいんだろう言えば)

 観念したのか、不機嫌そうな表情でそう言う隼人くん。
 言えば良いんですよ、言えば……ね。

「うん、聞かせて?」

 わざと意地悪な口調で言ってみる。
 この返事を聞くのは……私にとっては好きな人に振られるのが確定するのと同義なのだ。
 少しくらいは……意地悪したってバチは当たらないと思う。

(その……見たかったんだよ)

 ふーん、おおまかな予想通りの答えが返ってきた。
 本人の口から聞くと意外に感慨は少ないものだ。
 もう少し突っ込んで聞いておくかな?せっかくの機会だし。

「――何を見たかったのかな?」

 さっきよりも殊更に意地悪な調子で聞いてみる。
 そんな私の様子に何か文句が言いたげな様子な隼人くん。
 一度は口を開きかけたが、何やら思いとどまったように口を結ぶ。

――これは……口を割らすには苦労しそうだね。