「なんで……嘘ついて真里と私をキスさせたの?」

 今朝のボケ真里を『元に戻す』ときのことだ。
 オデコを合わせるだけで元に戻るとカズちゃんに教えられていたのに、隼人くんはキスしないと元に戻らないと嘘をついた。
 おかげで私はファーストキスを失うし、真里には引っぱたかれるしで散々な目に遭ったのだ。
 ただの意地悪だったなんて答えは許さない――まあ、この理由も大体は分かってるつもりだけど。
 一応は本人からキッチリと聞いておきたい。

(う……どうしても言わないとダメか?)

 この期において往生際の悪い隼人くん。
 どうしても私に話すのがイヤかな?
 だったら、言わないと仕方ない状態に追い込んでみようかと思う。

「言わなくても良いけど……真里に佐藤さんのことバラすよ?」

 本当はバラす気は無い。
 そんなことを話したら恐らくは『エッチしても良い』と思い始めているであろう真里の気分を変えてしまう。
 まあ、この脅し文句は隼人くんにちゃんと効果があったようだ。

――効果があった時点で隼人くんの気持ちは確定なんだけどね。

 そう感じつつもとりあえずは隼人くんの口からキッチリと気持ちを聞きだしておこうと思う。

――私の気持ちを……このモヤモヤとした感情に決着をつけるために。