お互いが転んだりしないように、手を繋いで湧き水に身を浸す。
 足先から伝わってくる冷たい水の感触。
 足から腰へ、胸へ、首へと――少しずつ水に浸していく。
 冷えた湧き水に浸かり冷えた体の中で……繋いだ手だけが暖かい。

 横を見ると、カズちゃんもやはりかなり冷たいのか、顔が少し震えているように見える。
 私の視線に気が付いたのか――ニコっと微笑む。

 本来なら……見慣れた自分の顔のはずなのに。
 中にカズちゃんが入っているからだろうか?
 まるで別人のように見える。

 カズちゃんの微笑みになぜかドキドキしてしまう私。
 思わず視線を逸らすように、目は下を向いてしまう。

 そこでさらにドキっとすることが起こった。

 山の湧き水はとても澄んでいて……その……透き通ってカズちゃんの、私の裸が丸見えなのだ。
 先ほども自分の裸を見て『女性』を感じてしまったが、
 今回は直前にカズちゃんの微笑みを見てしまったせいか……より強烈に女性を意識してしまったようだ。

――なんでそう感じるかって?

 それは……私の、カズちゃんの『男の子の部分』が強烈に自己主張をしていたからだ。

――これで女体に反応することは確認!

 物事はポジティブに考えよう。
 後は――夜を待つだけだ!