「まず聞きたいんだけど……私があなたの中に入っちゃった心当たりってない?」

 真里が隼人くんに聞く。
 同時通訳を試みようと思ったんだけど、その心配は必要なかった。
 真里の声はちゃんと隼人くんに聞こえているようだ。

(心当たりはないけど……こうなった状況なら覚えてるぜ?)

――へ?隼人くんはちゃんと覚えてるの?

 だったらその状況を話してくれないかな?
 自慢にはならないが私は全然思い出せない。
 何かヒントが絶対にあるはずだし……。
 真里にも一言一句を違えずに隼人くんの言葉を伝える。

「うーん、じゃあその状況を教えてもらえるかな?」

 真里も同じことを思った様子。
 その言葉に応えるように隼人くんが語り始める。
 以下は隼人くんが語った私が隼人くんの中に入った時の状況。

――昨晩のことだ。

 隼人くんはテレビを見終わって寝ようとしてベッドに入った。

 そこで急にムラムラっときて。
 その……一人エッチを始めた。
 そしてフィニッシュを迎えて。
 後始末を済ませて寝ようとした瞬間に体を追い出された……らしい。