楽しい時ほど過ぎるのは早い。
 私はそのことをこの山奥でのカズちゃんとの生活で実感した。

 朝は冷たい清水で顔を洗い
 昼は川で遊び
 夕方には縁側で涼み
 夜には並んで星を眺める

 二人で過ごすときはただただ楽しくて、
 退屈など感じる暇もなく、時はあっという間に流れていった。
 穏やかで、ひたすら心地よい――そんな日々も終わりが近付く。

 夏休みも残すところ一週間となり、私はいよいよ家に帰ることになった。

 その前の晩のことだ――。