「お祖父ちゃんも元気そうで、本当にお久しぶりです」

 本当はあまりよく覚えていないのだが、やはり社交辞令には社交辞令で返さないといけないだろう。

 お茶をすすり、少し落ち着いたところで部屋の中をぐるりと見回す。
 藁葺きの高い天井、板張りの床、囲炉裏に入ってくるときに通った土間。
 なんだか『むかし話』に出てくる民家のようだ。
 将来の夢が童話作家な私にとって思わず目がキラキラしてしまうような住居だ。

「わっはっは、何も無いところじゃろう?」

 家の中のものを興味津々で見ていた私を見てお祖父ちゃんが訪ねてくる。
 私の隣に座っているカズちゃんがお祖父ちゃんの言葉を受けてウンウンと頷いている。

「いえ、そんな! とてもステキな場所ですよ!」

 これは社交辞令ではなく本音。

 ……まあ山の中で遭難しかけたことはアレだけど、景色も良いし空気もキレイ。
 のんびりと暮らすにはもってこいの場所だろう。
 それに何より――カズちゃんもいるしね!