「あら、かすみちゃん」

 そのまま私たちの方に来て愛想良く笑うカズちゃんのお母さん。
 カズちゃんと四六時中ずっと一緒にいたせいもあってか、
 私に対しても娘のような扱いをこのお母さんはしてくれる。

「お見送りに来てくれたの?」
「あ、はい」

 そんな短いやりとりの後、先ほどまでのカズちゃんとの会話に出た質問をお母さんに聞いてみようと思った。
 まだ子供であるカズちゃんは自分の引越し先を知らなくても、
 大人であるお母さんならばカズちゃんの引越し先の住所を把握しているだろう。