――お客さんかな?

 そう思いながらリビングに進む。
 玄関の鍵が開いていたということはお母さんは居るはずだ。
 とりあえず顔を合わして帰宅の挨拶くらいはしておいた方が良いだろう。

「ただいま――」

 言いながらリビングに入った瞬間。
 私の声を掻き消すくらいの大きな声が飛んできた。

「いよーーーーーーーーーー! おかえり!!!!」

 え?お母さんじゃない?
 驚きで一瞬パニックになりかけたが、声の主を見てすぐに平静を取り戻すことができた。

 服装こそ作務衣じゃないが――長い髪をひっつめた、細身の男性。
 特徴的な瞳、その銀色の片目は忘れるはずも無い。

「カズちゃん!」

――思わず私は叫んでしまった。

 しかも、本人を目の前にして、今まで心の中でだけ呼んでいた呼び名を思いっきり……。