――それにしても、初めて隼人くんを見れるようになった真里の反応は見ものだった。

 真里に引っぱたかれ、嬉しいやら痛いやらの気持ちで真里を眺める私。
 状況がまだ理解できずにキスされてたことに怒ったままの真里。
 両者無言のままで時間は過ぎ去っていくばかり……だったのだが、
 ここで隼人くんが仲裁の声をかけてきた。

(まあまあ、真里ちゃんを助けるためにした行動なんだから。
ほら、アホマリ! さっさと俺の言ってること真里ちゃんに伝えろ!)

 『アホマリ』の呼称に対する抗議を通訳の前にしようと口を開こうとしたときだった。

「――へ? は……隼人くんが二人いる? 薄い隼人くんも喋ってる……?」

 まだ呆けてるんじゃないかと思うくらい間の抜けた真里の声が聞こえた。
 真里の方向を見ると、
 真里が隼人くんを指差しながら、顔を真っ青にしてガタガタ震えてる。