「うーん――」

 俯いたままの私にお母さんの唸るような声が聞こえる。
 少し顔を上げてお母さんの顔を見る。
 顎に手を当てて考え込むような格好をしている。

――そのまま無言の時間が少しだけ流れた。

「ちょっと待ってね」

 沈黙を破ってお母さんが眼鏡を外してテーブルに置いた。
 そのまま目を細くして私の方をじっと見つめる。

 お母さんに見つめられたまま固まっている私。
 二十秒ほども見つめられた頃だろうか。

「――うん!」

 ふいにお母さんが大きな声を出し私はビクっとなってしまう。
 そんな私にはお構いなしに眼鏡をかけ直しお母さんは言い切った。

「よし! 晩御飯にしよう!」

――え?ええっ!?この問題は置き去りですか!!???