「お父様、もう考えてたってしかたないよ。言術が使えなくたって、メルツを、そしてリーグ君を助けなきゃいけないのは同じなんだから。行ったらなんとかなるよ。」
「しかし、そうは言うが・・・。」
「お父様が造るものの中には、魔法を蓄積したものもあったでしょ。リーグ君のいる場所に着くまで、とりあえずそれで凌ぐよ。ねっ。」
<リーグのいる場所・・・?>
「あの、カルサって・・・もしかしてお城ですか?」
イバーエは聞いた。
「おい、アイワイ。わしはその事を話したか?」
「いいえ、カルサは地名だと思っていたけど・・・。」
「最近でこそ、その周辺の森を含めて“カルサ”と呼んでいるが、本来は城の名前なんじゃ。鮮やかな色で彩られた名城。それがカルサだ。」
「じゃ、間違いない。僕、それ見ました。一瞬だけど、それ見たんです。」
「なんと、本当か?となると、十分に注意しなければいけないな。」
不安そうなエーマリリスの顔を見ると、こっちまで不安になってくる。
「魔法使いの中にこんな話がある。色の王と言う話だ。」
「色の王ですか?」
「あぁ、そうだ。実際にこの世に現れた事はないがな。城に愛された者を色の王と呼ぶ。そして、その寵愛の結果、他の魔法使いが決して使う事の出来ない魔法を使うと言われている。」
アイワイが気がついた。