学校に着き、部室で顧問の話を聞いた後、思わず口からこぼれ落ちた言葉。

「…マジかよ」

「どうしても他の先生方の許可が下りなかったんだよ。野獣だらけの環境に、2匹のウサギを置けないんだと。マネージャー2人は4時で帰るから、その後の事は1年が全部やれ。飯もマネージャーは別の場所で食うから、後片付けも1年がやれよ!」



………現実って厳し過ぎだろ?もうちょっと甘くなれよ…



そうは思っても、現状は変らない。

学校の決定に従わなければいけないのが、生徒に課せられたルール。

期待で膨らんでいた胸は萎みきり、ダラダラとバスケの練習をしていた。

「コラァ!浜野!気合い入れてやれ!」

「はいはい。わかりましたよ~っと…」

気のない返事をしながらシュートを打つと、和華は大久保と二人で小さくクスクスと笑っていた。



………可愛いウサギちゃんだこと。あんまり可愛いと本気で食っちまうぞ?



声に出して言えない事ばかりが頭に浮かび、午前中の練習を終えた後、みんなで食堂に向かった。

食堂の中は男だらけ。

さっきまで近くで笑っていた、可愛いウサギの姿も無かった。