「高宮さん、書いて?」


あまりのことに驚いた私は不本意にも、操り人形のように奴の言う通りに動いてしまう。


ハッ、私はいったい何を……!?


能無し女の名前を書いているうちに我に返って後悔した。


要するに奴はコテコテの救いようのない常春頭の持ち主ってわけね。

まあ、仕事はそこそこ出来るようだけれど……。


それより何より、気に入らないわね。

ほんの一瞬とは言え、この私の虚をついて騙し果すだなんて。


許せないわ。


静かにチョークを置く。


闘志に火がついた瞬間だった。