「キャー、西遠寺く~ん」


ウザイ。

どっから出してんだよ、その声。


「いやー偶然!!
西遠寺くんもこの学校でしかも同じクラスだったなんて……」


よく言うよな、偶然とか。

俺と同じ学校に行くために必死こいて勉強したんだろ?


「運命かも~」


あっそ。

勝手にそう思っとけば?



猫撫で声でキャッキャと騒ぐ女にうんざりする。

しかし、ここでそれを表に出すわけにはいかない。



「またよろしく」


俺は仕方なくいつものように人の良さそうな顔に笑みを浮かべた。