加納欄の誘拐 シリーズ21

これだけ、事務所にいて、電話も人の出入りもなかったら、幹部連中は、課長誘拐に関しては、知らない。と、判断してもいいだろう。

ただ、ホズミ、と、名前が出た以上、あたしの中で、1度だけでも本人に会ってみたかった。

組長の人柄を見れば、だいたいわかるだろう。

「お願い」

「条件がある」

「え?条件?」


暴力団との取引って……。


警察にとって、いい話しじゃないことだけは、わかるよね(__)


「……会わせてくれるの?」

「いいだろう」

「ありがとう。でも、条件は、警察にとって不利なことは、一切のめないから」

先手を打っておいた。

「そうか、考えとく」

「お、お手柔らかに、あの……組長さんは?出来たら、すぐにでも会いたいんだけど……」

「俺が保住だ」

「え?」


えぇっっっっ〜〜〜〜〜?!


あぁぁぁぁぁ。


「だって」


吾郷って。


「保住吾郷だ」


吾郷が、名前!


「2・3日前に男から、警察官を捕まえるから、取引に拳銃と交換してくれって、電話はきたな。断ったがな。素人から話しをもらうほど、うちの組は落ちちゃいないんでね」

「く、組長さぁん。何か、小さな手がかりでもいいんで、何かありません?」

「……ヤサならわかるぞ」

「え?」

「疑わしかったから、若いのに、電話番号から突き止めさせた」


刑事なみじゃないですか。


「おたくらの誰を捕まえたのかは知らんが、保住組は今回の件は関与してない」

と、言うと、吾郷は、事務机からメモ用紙を出し、何か走り書きをして、渡してくれた。

「……ありがとう」

あたしは、吾郷からメモを受け取ると、事務所を出ようとした。

「悪かったな。髪」

「……気にしないでください。組長さんがやったわけじゃないんですから」

振り向きもせず、あたしは答えると、事務所のドアを開け、階段を下りて行こうとした。

「欄、髪の慰謝料やる」


慰謝料?


さすが暴力団!


振り向いたら、万札何枚もピラピラちらつかせてるんだ。


お金なんてもらうわけないじゃない(-.-)