加納欄の誘拐 シリーズ21

吾郷は、倒れてるあたしを、簡単に元に戻し、顔をマジマジと見た。

「……悪かったな」


え?


「伸ばしてたんだろ」

そう言いながら、不揃いの髪を耳にかけた。

「悪いと思ってるなら、縄をほどいて、私の質問に答えてちょうだい」

コメカミから、血が出ていることに気がついた吾郷が、自分のハンカチで血をふいた。

「……ありがとう、ございます」

「教育がなってなくて悪かったな」

「大丈夫よ。こんなの、なめとけば治るから」

「そうか」

そう言いながら、吾郷は、あたしを見つめながら足に跨がると、向かい合いに座り、背中側の縄をナイフで1本1本と、切った。

切るたびに、体が密着する形になり、あたしは体を反らせ、顔を背けた。

「なに、逃げてんだよ。切れねぇだろ」

「わ、わざわざ、密着しなくたって!後ろに回って切ればいいでしょ!」

「そうか?ほら、動くなって……切れたぞ」

縛りつけられた腕が、やっと楽になった。

「痛そうだな」

吾郷は、コメカミの傷に、唇を押し付けた。

「嫌っ!」


そこは、大山先輩に……。


あたしは、吾郷の体を押しのけようとしたが、両手を掴まれ背中に回された。

「痛い!」

思わず叫んで、吾郷を見上げた。

身長が高いから、座っていても見上げる感じだった。

その隙をついて、吾郷があたしの唇をふさいだ。

「ふぁっ!!」

唇の中に舌が割り込んできて、絡まそうとしてくる。

あたしは、慌てて吾郷から離れようとしたが、吾郷の手がいつの間にか、あたしの両手から離れていて、頭と肩に回されていた。

身動きがとれず、息も苦しかった。

やっと、キスから解放されると、あたしは、思いっ切り吾郷の頬を引っ張たいた。

吾郷は、やられたらやり返す主義みたいで、すかさずあたしの頬を張り倒した。

あたしの膝からおりると、あたしを無理矢理立たせると、事務机に押し倒した。

「何するのよ!」

「粋のいい女は好きだぜ」

「女はしおらしいのが1番だって、言ってたじゃない。離れてよ」

「あぁ、女はな。お前は、女じゃねぇ」

「何言ってんの。だったら、こんなことするのやめてよ!」