加納欄の誘拐 シリーズ21

「お前、変わってる奴だな。普通、事務所とかに連れて来られたら、危機感とか、恐怖心とか、感じるんじゃねえのか?ま、騒がれないだけ、いいけどな」

「そ〜なんですか?危機感、ですか?」

吾郷さんが、少し優しい表情を見せた。


ドキッ!


ヤダッ(>_<)


こういうギャップは、今のあたしには、よくないよ(*_*)


「兄貴、沙織さんから連絡が入ってますが」

事務所内の奥の部屋に、違う若い衆が、入って来た。

「おぅ、茶入れとけや」

「へい」

吾郷は、ナイフを机に置き、部屋を出て行った。

若い衆は、あたしを睨むと。

「お前ホントに刑事なの?」

と、吾郷が、置いていったナイフを持ち、あたしの咽に突き付けながら、質問をしてきた。


これが、危機感?


「そうですよ、南署の加納欄です。こんなことしてるから、パクられちゃうし、悪いことしてるんだなぁ。って、疑われちゃうんですよ」

「んだとぉ!」

若い衆は、冗談がきかないらしく、あたしをグーで殴りつけた。

コメカミに衝撃がきて、瞳がチカチカした。

「うぅっっっ」

さらに殴られた。

「女を殴るなんてサイテー!しかもグーなんて!」

殴られ、唇に髪の毛が、からまった。

若い衆は、唇にからまった髪の毛をとると、やっと背中まで伸びた髪の毛をひとつかみした。

「まだ睨む力あるんだ」

と言い若い衆は、あたしを見たまま、ナイフで髪の毛をザックリ切ると、目の前で、切った髪の毛をサラサラサラと落としていった。


(−_−#)


あたしは、顔色変えないで、若い衆を見た。

若い衆は、反対側の髪の毛も乱暴に掴むとバサッと切り落とした。

今やあたしの髪の毛は、左右のバランスがとれていないボブカットになっていた。

あたしは、冷ややかに若い衆を見ていた。

それが、また気に入らないなしく、若い衆は、お腹に蹴りを入れた。

「ゲホッ」

勢いあまって、椅子が倒れ、床に叩きつけられた。

ガチャっと、扉が開くと、吾郷が戻って来た。

あたし達の様子を見ると、特に何も言わず、若い衆に目配せをした。

若い衆は、黙って部屋を出て行った。