加納欄の誘拐 シリーズ21

タケは、またもや、壁に激突し、頭は道路、お尻は空に向けた状態で、気絶してしまった。


今回は、痛いと思うよぉ。


少し可哀相になってしまった。

そこへ。


ガチッ!


と、撃鉄の音が聞こえた。

兄貴に対して、あたしは今、背を向けていた。


マズイ……(-.-;)


思ったより、早く目が覚めた。


兄貴は、無言で近づいてくると、拳銃の持ち手の部分で、あたしの首を思いっ切り殴りつけた。

あたしは、ガクンと崩れ落ち、首に手をやり、痛みをこらえた。

「随分と器用なことができるんだな。え?」

兄貴は、あたしの髪の毛を掴み立たせると、あたしの頬を殴った。

「あうっ!」

口の中で鉄の味がした。

そして、ミゾオチに当て身を食らわせた。

今回は、まともに入り、あたしは、兄貴にもたれ掛かりながら、ズルズルと崩れ落ちていった。

「女はしおらしいのが1番だよな」

兄貴は、またあたしを担ぐと、そのまま事務所へ、歩いて行った。




気がつけば、事務机の椅子に座らされていて、グルグルに縛られていた。


いったぁ。


口の中、血の味がするよぉ(-.-)


うえ〜〜〜。


お腹も痛いよぉぉぉ。


「気がついたか?」

兄貴が、ナイフを握りながら、近づいてきた。

「兄貴さん。縄、痛いんで、ほどいてもらえると、嬉しいんですが」

あたしは、腕に食い込んでいる縄を見ながら、兄貴にお願いしてみた。

「その手には、のらないぜ」

「ダメ、ですか?やっぱり」

「お前の力は、わかったからな」

「お前じゃありません。欄です。加納欄って、名前があります、兄貴さん」

「欄か」

「南署の加納欄です。あたしに悪さすると、仲間がすぐに来ることになってます」

「そぅか」

「はい。ですから、縄ほどいてください。兄貴さん」

「兄貴さんか。俺にも、吾郷って名前があるんだぜ」


アゴウ……。


「吾郷さん、ですね。逃げたりなんて、全然しないんで、大人しくしてるんで、縄、緩めてみたり、しません?」