加納欄の誘拐 シリーズ21

「アッタマきた!殺人未遂で逮捕します!」

と、言って、タケに手錠をかけようとした時だった。

「そういうことされると、困るんだよねぇ、お嬢さん。大人しく、事務所に来てもらおうか」

「兄貴!」

あたしに、拳銃を向けて立っていたのは、保住組の背の高い男だった。


なんで、拳銃持ってんのよ!


銃刀法違反じゃん!


あたしは、手錠をタケにかけるのをやめると、ゆっくり立ち上がった。


あ〜ん(>_<)


こんなことしてる場合じゃないのにぃ。


園田さんの手、痛めてるよねぇ、あの腫れ方(-.-)


園田さんの右手首は、プクッと腫れあがっていた。


骨折?


困ったなぁ。


園田さんの心配をしていたら、タケが、兄貴が来て優位に立ったため、突然あたしのお腹に強烈なパンチを繰り出した。

あたしは、避けることが出来ず、モロ食らい、体をくの字に曲げ、地面に膝をつけ、咳込んだ。

「欄!」

園田さんが、あたしを助け起こそうとしたが、兄貴が、園田さんに蹴りを入れ、園田さんも地面に倒れた。

「1人で始末もできねぇのかよ」

兄貴に言われ、タケは、謝っていた。

「とりあえず、事務所に運べ」

そう言って兄貴は、あたしを軽々と担いだ。

「ちょっと!自分で歩けるわよ!降ろして!」

あたしは、兄貴の背中に文句を言った。

「事務所着くまで大人しくしてろよ。こっちもいろいろ大変なんだよ。悩み事増やさないでくれよ。大人しくしててくれれば、なんもしねぇからさ。用があるのは、そっちだけだからよ」

兄貴は、園田さんを見ることなく、事務所に向かって歩きはじめた。


マイッタナァ(-.-;)


園田さん、逃がさないと……。


2人で、事務所入ってもしょうがないよねぇ。


「あ〜、もおおおおっっっっ!」

あたしは、怒りの声をあげると、上体を起こし、両手を組んで、兄貴のコメカミを殴った。

兄貴は、痛さのあまり、あたしを掴んでいた腕を緩めた。

その隙をついて、あたしは、兄貴から離れると、すぐにミゾオチから胸にかけてツボを蹴りあげた。