加納欄の誘拐 シリーズ21

そう言って、あたしは、タケの胸ぐらを掴んでいる園田さんを引き離し、タケの胸板をまさぐった。

「な、何をしているんですか?」

園田さんは、あたしの奇妙な行動を覗き込んだ。

「さてと、まずは、素直さがかんじんですよ」

と、言って、軽く胸のツボを突いた。

タケは、一瞬息が出来なくなり、クハッと前のめりに体を曲げた。

「なっ……」

園田さんは、何が起きているのか、わからなかった。

そして、続けざまに、指を肋骨にあて、突いてあげた。

タケは、声にならない声をあげた。

「!」

「素直な人って、こういう痛み知らないで、生きていけるんですよ、何も話さなくていいですよ。同じ事を、1秒間隔でやるだけですから」

あたしの指が、違う肋骨に手をあてると、タケが、慌てた。

「は、話す!話すから!」

あたしは、ニッコリ笑うと、園田さんに振り向いた。

「何をしたんだい?」

園田さんに聞かれ。

「さっきの事故で肋骨を痛めたみたいなので、少しだけ意地悪したんですよ」

と、うそぶいた。

タケが、あたしを睨んだが、自分が悪い。

あたしが、指の運動をすると、慌てて。

「話すって、言ってんだろ!」

と、怯えた。

あたしが、ツボを突いて肋骨に、ヒビを入れてたなんて、園田さんは、想像つくはずがなかった。

「なんで俺達を狙ったんだ」

園田さんが、タケに質問した。

タケは、園田さんを睨むと。

「この前、ガサイレしやがっただろうが」

「……ガサイレ?保住組は、してないだろ」

「後藤組だよ」

と、言った。


…………。


話しが、見えませんが?


「薬なんて今時、組に置いてあるのが悪いんだよ」


園田さん、そうかもしれないけど、根本的には、薬を売りさばいてるのがダメなんじゃ(__)


「大きな損害だったんですか?」

「キロで、回収したからなぁ」

「まさかとは思うけど、その時の逆恨みじゃないよね」

と、言って、あたしは、上からタケを睨んだ。

タケは、目を泳がせた。


ふざけやがってぇ。


こちとら、忙しいってのにぃ。