加納欄の誘拐 シリーズ21

あたしは、塀にぶつかった車のところへ行こうとした。

「大丈夫だよ。行くよ」

園田さんは、動こうとしたが。

「待っててください。右手、痛めてるんですよね。骨折してたら困るんで、動かないでいてください」

あたしは、車に向かって歩くと、運転手を確認した。

運転手は、ハンドルにもたれ掛かって、気絶をしていた。


死んでる?


なぁんてね。


あのスピードじゃあねぇ。


あたしは、ドアを開け、気絶してる犯人を引っ張り出した。

犯人は、フロントガラスの割れた破片で切ったのか、額から血を流していた。

保住組にいた若い衆の1人、タケと呼ばれていた男だった。


さては、先に事務所出て、あたし達引き殺そうと、狙ってやがったなぁ。


まぁ、これで、保住組がなんらかの事件に関係してる事がわかったけど。


聞きに行っただけで、殺そうとするって……(>_<)


どんだけ悪どい事してんだよ。


課長の誘拐と、繋げちゃって、いいのかな(-.-)


「おい!起きろよ!」

園田さんがいつの間にか近づいて来ていて、気絶している犯人を起こしにかかった。

犯人は、なんとか目を覚ますと、助けてくれ。と、言いはじめた。

「助けてもらいたかったら、全部白状しろ!」

園田さんは、少し切れ気味に、話した。

「血、血が出てる。救急車呼べよ」

「おい。聞いてるのか!?病院行きたかったら、なんで俺達を狙ったのか答えろ!じゃなかったら、このまま、署に連行するからな!」


お〜(゚o゚)


強気ぃ〜(^0^)


「オレは怪我人だぞ!くそデカ!!」

タケが、悪口を言うと、園田さんは、バッとタケの胸ぐらを掴んで、睨んだ。

「てめぇ〜!」

お互いに、睨み合って、商談成立しそうになかった。

「あのぉ」

あたしは、あんまり時間がとれないことを心配し、中に割って入った。

「私がやりましょうか?」

園田さんに聞いてみた。

「いや、加納さん、女性のあなたにこんなことさせられない」


…………。


本気で思ってるんですか?


「先輩達のを見て、勉強してますから、とりあえず、どいてください」