…まぁ確かに、コイツ相手だとポーカーフェイスが崩れるわけだから、花穂里は表情豊かな俺しか見てない。

学校ではクラスが違う、と言う理由もあってあまり会わない。


そっか。
こいつ、俺がポーカーフェイスなの知らねーのか。



「…まぁ、な」

「でも、私の前じゃ照れたり、笑ったり、怒ったり…。いろんな表情してるよ?」

「それは花穂里の前だけ」

「…本当に??」

「あぁ」



その言葉を聞くと同時に、花穂里の目からは涙が引き、かわりに笑顔が浮かんだ。



「じゃあ、今見てる大河は私だけのものなんだねっ!!」



…そこをそうやって、捉える?
そうやって、自分だけのものにしちゃう?


俺が返す言葉もなく、ただボーッとしていると、今度は花穂里の表情が、怒ったものへとなった。



「でも、大河のクラスの子はずるい。…私、大河のポーカーフェイスなんて見たこと無かった」



……次はそこ?
まぁ確かに、それはショックかも知れないけど…。

頬をぷぅ、と膨らませてまで怒る事じゃねぇだろ。