花穂里、と呼ばれるのは俺の彼女、安西花穂里。

栗色の、肩ぐらいまでの髪。
小さめで、薄い唇。
目は少し大きく、二重。

部類としては、可愛い方に入る。



「ふざけんな。花穂里と一緒にすんな」

「おぉー怖ぇ、怖ぇ」



雑誌に載っていたのは、髪型や唇は似てるが、目の形が違う女だった。

全く違う人を言われると、無性に腹が立つ。
似てもねぇのに、コイツ…。
ったく、どこに目付けてんだか。



「でもさ、良く見てみろよ?髪型とか、口のあたりとか…」

「目が違うだろ、目が。花穂里の方が数百倍可愛い」

「…それぐらいの言葉、彼女にいってやればいいのになー」



こんなに恥ずかしいことを、さらっと言える俺はおかしいと思う。

…実際、こんな事を本人の目の前で言えなんて言われても、俺は100%言えない。

ポーカーフェイスで隠し通せばいいって?
……そんなのムリムリ。



「花穂里ちゃん、甘えたな性格なんだろ?お前がたくさん言ってもらってんだから、たまにはお前から言ってやれよ」

「…ふざけんな」