群青ノ春

「奈緒、風呂入れてるけどどーする?


俺、先入って陽奈入れようか?
俺らは飯済ませたし。」





圭介はビールを一気に飲み終えると缶を潰して言った。





「それじゃお言葉に甘えて…」




陽奈は圭介の手を引きながら風呂場に向かった。


最近、陽奈はお母さんごっこにハマっているようだった。
奈緒や圭介のお世話までしてくれるのだ。




奈緒は冷蔵庫から圭介が買ってきた惣菜を皿にうつし、レンジで温めた。

圭介は料理だけは苦手だった。





レンジの温めが終わる「チン」と同じタイミングで携帯の着信音が鳴った。




奈緒の携帯の音だった。





奈緒はゼンマイの切れた人形のように動けなくなった。


背中には汗が流れるのが分かった。