「もういいだろ」

いつまでもモカの手を握りつづける兄貴の腕をバシッと払った。

しかし、そんな俺の牽制も兄貴には通じていない。モカに興味津々みたいだ。


「モカちゃん、和泉にいじめられてない?こいつ、意地悪でしょ?」

「そ、そんなことは…!!」

「いじめられたら俺の所においで?慰めてあげるから」

「えぇ!?い、いえ、そんな…!!」

「ふふ、可愛いね」


早くも優男の本領発揮といった感じで、モカに言い寄っている。



だから会わせたくなかったんだ…。

「てめぇ…いい加減にしろよ…」

静かに怒りを含ませながら、モカから兄貴を突き放した。