続・特等席はアナタの隣。

そんな和泉君に時間を作ってまでサッカーをしろとは、とてもじゃないけど言えない。

それに…。

「サッカーしてる和泉君が好きだったわけじゃないし」

元々、練習しているところもチラッと見かける程度で、試合もわざわざ観に行ったこともない。

彼女としてどうかと思うけど、サッカーしてようがしてまいが、どちらでもいいのだ。


そんな私の言葉に、和泉君はおかしそうに笑った。


「やっぱモカだな」

「え?何が?」

「いや?何でも」


そう言って和泉君は繋いだ手を放し、私の腰に腕を回して歩き始めた。