続・特等席はアナタの隣。

すっかり機嫌を良くした和泉君は、お昼休憩の間、ずっとベッタリ張り付いたままだった。

講義が終わったあとも和泉君は一緒に帰りたがっていたけど、家庭教師のバイトがあるからと、和泉君を待たず一人で帰った。


バイトがあるのは本当だ。途中までなら一緒に帰ることだってできる。

でも、和泉君には申し訳ないけど、今日はちょっと疲れてしまった…。ちょっと心を落ち着かせたい…。



そして、グッタリと疲れたまま純ちゃんの家に着いた。


ピンポーン…と力なくチャイムを押すと、「いらっしゃい、モカちゃん」と、いつも出てくるはずの純ちゃんではなく、今日は優作さんが迎え出てくれた。


「あれ…?優作さん?」

「ごめんね、純がまだ学校から帰ってなくてさ」


そうなんだ…。早く来すぎちゃったかな。

どこかで時間潰そうかな、と考えてたら、「あがって待ってて」と優作さんが中へ入れてくれた。