続・特等席はアナタの隣。

そして、みんなの視線をヒシヒシと感じながら、手を繋いでキャンバス内を歩いて帰る。

和泉君は平気なんだろうか…。いや、でも昔から注目されてたからきっとなんてことないんだろうな…。

周りに目もくれず歩く和泉君をチラリと見上げたその時、後ろの方から「おいっ!!黒崎ーっ!!」と大きな叫び声が聞こえてきた。

な、何っ!?

2人で同時に振り返ると、そこには息を荒くしたガタイのいい青年が立っていた。

その人を捉えた瞬間、和泉君が、はあぁと盛大なため息を吐いている。


「悪いモカ、ちょっと待ってろ」

そう言って和泉君は繋いでいた手を放し、その人の所へ向かった。