「・・・っ南萌香!!!」


あたしは司の学校から出ようとしたら、いきなり誰かに呼び止められた。

「あれー澪ちゃん。
どーしたの?」


「み・・・澪ね。
どうしても・・・負けたくないの!!
寿々には!!!」


澪ちゃんの目は真剣そのものだった。


「澪・・・寿々と双子だから。
今まで何でも・・・寿々と比べられてきた。
もちろん、寿々のほうが成績とか、何もかもがいいから。
いっつも寿々は、澪の欲しい物“ご褒美”としてもらって。
澪はいつも・・・ご褒美もらえなくて・・・。
それが・・・悔しいの!!
だからッッ・・・なんとしてでも寿々に勝たなくちゃなの!!
澪だって、1つぐらいは寿々に勝てるって事・・・
証明してやりたいの・・・!!!」


・・・そんな・・・

寿々ちゃんと澪ちゃんの関係にそんな事があったなんて・・・。

だけど・・・

だけどあのとき司は・・・。


“池田寿々って子、なんだけど”

“女の子らしい子でさ、成績も毎回トップで。
何もかもが完璧なんだよ”

“告白・・・
OKしたいんだけど。
女子って、どうやってOKしてくれれば嬉しーの?”


頭の中は寿々ちゃんでいっぱいになってると思ってた・・・。

だって寿々ちゃんの事、いろいろ気にかけてたんだし・・・。


「澪ちゃん・・・。
司は、ね。
寿々ちゃんが好きって言ってた。
司は以前、あたしを好きって言ってくれたんだ。
だけど・・・あたし違う人好きになってたんだ。
だから、深く恋愛感情とか、考えられなくて悪いなって思ったから。
司のほんとに好きな相手との恋を応援したいなって・・・思ったの・・・。
だから、司のほんとに好きな相手っていうのは寿々ちゃんで・・・!
悪いんだけど、澪ちゃんではないの!!!」


ほんとはこんなこと言うつもりなかった

だけど

澪ちゃんがあまりにも真剣な顔するから

“言え”って、オーラ出してるから

言うしか、なかったんだ・・・。